失敗しないキモノ選びの秘訣~キモノ豆知識~

素朴な疑問。成人式に振袖を着る意味とは?

素朴な疑問。成人式に振袖を着る意味とは?

毎年成人式の日には、振袖で着飾った女性が街にあふれます。華やかでいかにもお祝いらしい光景ですが、そもそもどうして成人式に女性は振袖を着るのでしょうか? 今さら他人に聞けない素朴な疑問。知らなくても困らない成人式と振袖の起源ですが、知っていると少しだけ、心持ちが違いますよね。

昔は男も振袖を着た!?

振袖は別名「振り八つ口」と言います。八つ口とは着物の脇の下にあたる部分。「振り八つ口」は、袖の身頃側の生地を縫わずに開けたままにしたものです。「振り八つ口」は、元々子ども用の小袖に見られた袖の形でした。袖が開いているため風通しが良く、子どもの高い体温を逃がす役目を持っていました。子どもの小袖ですから、女子だけでなく男子も「振り八ツ口」を着ていました。

その後、男子は17歳の春、女子は19歳の秋になると、袖を切って脇側を縫い大人と同じ袂(たもと)の閉じた着物にします。「振り八つ口」の風習については井原西鶴が、『西鶴俗つれづれ』の中に記しています。

振袖はどうして長いのか?

元は子どもの小袖だった振袖、江戸時代になると振袖は、未婚の女性が着る正装になりました。振袖は江戸時代初期から中期にかけて、袖丈がどんどん長くなります。振袖が長くなったのには、袖丈が長いと所作が美しいことや、袖を振ることで男性の気を引けるなど、いくつかの理由があったようです。

日本には、感情を袖で表す風習があります。「袖を振る」のは好きということ、「袖を払う」なら忌み嫌うという意味。袖によって感情を表すとしたら、感情豊かな若い女性の袖丈が長くなるのは自然なことだったのでしょう。

成人式の起源と意味

二十歳を大人として祝う現在のような成人式は、第二次世界大戦後の1946年に始まった新しい行事です。ただそれ以前から、子どもが大人になる通過儀礼は行われていました。古くは男子が16歳で髪型を変える「元服」、女子が腰着を付ける「裳着」などがそれですし、先に記した「振り八つ口」の袖を切って袂を縫う風習も、通過儀礼の1つです。着物や髪型を変えることで、目に見える形で成長を祝い、同時に大人になる自覚をうながす意味があります。

成人式に振袖を着る理由

「成人式に振袖を着る」のも、現代の通過儀礼の1つと言えます。装いを新たにすることで、気持ちを大きく変える意味があります。第一礼装で改まった席にのぞむことで、大人になったという自覚が持てます。華やかで格調高い装いをすることで、親に成長の報告と感謝の気持ちを伝えるのです。一生に一度の成人式を大事な節目と思う気持ちが、振袖を着るという習慣に繋がったようです。

成人式の振袖は、大人として人生を歩き出す自分を祝い、成人となった自覚を持つための晴着です。独り立ちする記念日に着るものだから、自分らしさを表せる振袖を選びたいもの。振袖選びは妥協せず、本当に好きな物を選んでください。納得できる最高の一着に袖を通して、成人式に臨みましょう。