hannari 関西で生まれた「はんなり」という美意識
京都の伝統「はんなり」とは
江戸のファッションが「粋(いき)」を重んじていたことに対して、京都や大阪には「はんなり」という美意識があります。
室町時代以降によく使われるようになった京言葉で、今でも京都や大阪では「気品があって華やかな」様子を意味しています。その語源は「華あり」で、それが話し言葉として「はんなり」に変化していったというのが通説のようです。
京都の文化は世界的にも人気があるので、この「はんなり」も今では京都らしさを表現するために様々な解釈で使われてはいますが、基本的には色合いの意味で使われた言葉です。
「はんなり」を代表する存在、舞妓さん
京都には、江戸時代から続く「(今でいう繁華街にあたる)花街」が残っています。
世界的にも有名な祇園の花街もそのひとつです。
最初は京都市東山区祇園町にある八坂神社(通称「祇園さん」「八坂さん」)の参拝客にお茶を振舞ってもてなしていたお茶屋さんだったようですが、お茶が料理やお酒になり、そこに歌舞伎を真似た三味線や踊りが加わってどんどん賑やかになっていきました。
宴席を三味線や舞で盛り上げてもてなした女性は芸妓さんと呼ばれ、演奏や踊りの腕前があるのは当たり前で、ユーモアのある話術や気遣い、上品な立ち居振る舞い、華やかな出で立ちが求められる、今でいうタレントさんのような仕事でありました。
ちなみにタレントは日本語で「才能」ですから、まさに芸妓さんたちのためにあるような言葉です。人気の高い芸妓さんのいる地区はお客が集まって繁盛しますから、とても重要な役目でもあったのです。
そんな芸妓さんの見習いが舞妓さんです。
見習いとはいっても、まだ三味線や歌は修行中でも舞うことはできる程度まで修行を積んで、試験に合格しなければなりません。
昔は10歳くらいから修行を始め、10年くらいの修業を積んだのち芸妓に成っていましたが、今は義務教育を終えないとなれないようになっています。
身に着ける衣装も、芸妓さんと区別するために、着物は必ず肩上げで、袖上げがされて裾を引いた振袖の着物を着ています。歩くと音が鳴るぽっくり(おこぼ)の下駄に、だらりの帯もトレード・マークです。むしろ芸妓さんよりも派手な出で立ちなので、今では京都の「はんなり(花あり)を代表する存在になっています。